飲食店の不安と、宿の不安と、サロンの不安はまったく違う。 の挿絵

これは、FRONTCASTを作っている途中でかなり感じました。

飲食店を探している時、お客様が知りたいのは、まず美味しそうかどうかです。

でも、それだけではありません。

入りやすいか。
一人でも大丈夫か。
スタッフは感じがよさそうか。
混んでいても雑に扱われなさそうか。
初めてでも浮かなさそうか。

お腹が空いている時の人間は、意外と繊細です。

しかも少し機嫌が悪い。

空腹時の判断力は、あまり信用できません。

「なんでもいい」と言いながら、全然なんでもよくない。
「軽く食べよう」と言いながら、店選びに急に厳しくなる。

人間は空腹になると、少しだけ面倒になります。
自分も含めてです。

だから飲食店のクチコミでは、料理の魅力と同じくらい、店の空気が見られています。

一方で、宿を選ぶ時はまったく違います。

宿は、失敗した時のダメージが大きい。

一食の失敗なら、まだ笑えることがあります。
「まあ、あの店すごかったな」と話のネタになることもある。

でも、一泊の失敗は重い。

部屋が汚い。
音がうるさい。
スタッフが冷たい。
設備が古すぎる。
写真と違う。
眠れない。

これは、旅全体に響きます。

食事なら「次行こか」で済むこともあります。
宿は「次行こか」ができません。

もうチェックインしています。
荷物も広げています。
こちらはパジャマです。

人はパジャマになると、だいたい戦闘力が落ちます。

だから宿のクチコミは、予約前の不安をかなり細かく見られます。

清潔か。
騒音はないか。
スタッフは親切か。
子ども連れでも大丈夫か。
外国人にも対応できそうか。
何かあった時に助けてくれそうか。

飲食店よりも、不安の粒が細かいのです。

そして、美容室やサロンはまた違います。

そこでは、自分の身体や髪を任せます。
場合によっては、家族やペットを任せることもあります。

これは、かなり個人的な不安です。

この人に任せて大丈夫か。
雑に扱われないか。
ちゃんと説明してくれるか。
押し売りされないか。
初めてでも緊張しすぎないか。
大切な存在を安心して預けられるか。

飲食店とも、宿とも違う種類の不安があります。

つまり、同じ「クチコミを見る」という行動でも、その奥にある不安は業種によってまったく違うのです。

これを一つの型で扱うのは、少し乱暴だと思いました。

食には食の不安がある。
旅には旅の不安がある。
美には美の不安がある。

だからFRONTCASTは、旅、食、美に分けて考えることにしました。

飲食店には、料理の魅力だけでなく、店の人柄まで来店前に伝えること。
宿には、宿の人柄を予約前のお客様に届けること。
美容・ケアサロンには、人や身体や家族やペットを、安心して任せられる印象を整えること。

お客様は、まだ店に来ていません。
まだ泊まっていません。
まだ施術を受けていません。

でも、不安はもう始まっています。

その不安の形を見誤らないこと。

そこから、返信の言葉は変わります。

同じ「ありがとうございます」でも、業種によって残すべき安心感は違う。

FRONTCASTは、そこを雑に扱いたくありませんでした。