謝りすぎる店は、かえって不安に見えることがある。 の挿絵

さっきまで店主らしい顔をしていたのに、スマホの画面ひとつで、心の中の座高が少し下がる。

「え、誰?」
「いつ?」
「うち?」
「ほんまにうち?」
「いや、うちやな。店名出てるし」

そこから、だいたい焦ります。

とりあえず謝りたい。
火を消したい。
誰にも見られないうちに、そっと片づけたい。
できれば投稿される前の世界に戻りたい。

店をやっている人なら、たぶん分かると思います。

良いクチコミは、何度でも読みたくなります。

「美味しかった」
「また行きたい」
「スタッフさんが親切だった」

こういう言葉は、心の栄養です。
できれば額に入れて飾りたい。

一方で、厳しいクチコミは、一度読んだだけで心に居座ります。

しかも、そういうものに限って忙しい日に出てきます。

仕込みがある。
発注がある。
スタッフから相談がある。
そこに星ひとつ。

なかなか効きます。

胃というより、心の変なところに来ます。

そして焦って返信します。

「このたびは不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません。今後改善してまいります。またのご来店をお待ちしております。」

よく見る文章です。

もちろん、謝ることは大切です。
不快な思いをさせたなら、そこはきちんと受け止めるべきです。

でも、クチコミ返信は謝罪文ではありません。

ここを間違えると、店の姿勢が伝わらなくなります。

ただ小さくなって謝るだけでは、読んでいる人に何も残りません。

何が起きたのか。
店はどう受け止めたのか。
これからどう向き合うのか。
初めて来る人は安心してよいのか。

そこが見えない。

すると、第三者にはこう見えることがあります。

「あ、この店、何か問題があったんだな」
「とりあえず謝っているだけかな」
「本当に変わるのかな」
「ちょっと不安だな」

謝っているのに、不安が残る。

これは、とてももったいないことです。

クチコミ返信を読んでいるのは、投稿者だけではありません。

これから来るかもしれない人も読んでいます。

その人は、店と投稿者の間に何があったのか、全部は分かりません。
でも、返信の雰囲気は分かります。

この店は、ちゃんと聞く店か。
言い訳が多い店か。
必要な説明ができる店か。
何かあっても、落ち着いて向き合ってくれそうか。

第三者は、返信を読んで、店の態度を見ています。

だから、謝るだけでは足りません。

まず受け止める。
不快な思いをさせたなら、そこはきちんと謝る。
必要な説明があるなら、短く、落ち着いて伝える。
そして、次に読む人が不安にならないように整える。

この順番が大切です。

強く反論する必要はありません。
かといって、ただ縮こまる必要もありません。

店として、どう向き合うのか。

そこに、その店の姿勢が出ます。

FRONTCASTを作る時、この部分はかなり大切にしました。

ちゃんと謝る。
でも、ただ小さくならない。
その店が何を大事にしているのかまで、少しだけ言葉に残す。

クチコミ返信は、謝罪文ではありません。

まだ来ていないお客様に向けた、もうひとつの接客です。

謝るためだけではなく、安心してもらうために書く。

それだけで、返信は大きく変わります。