店の「いらっしゃいませ」は、もう入口の前から始まっている。 の挿絵

お客様が扉を開ける。
スタッフが迎える。
席に案内する。
水を出す。
注文を聞く。

そこからが接客だと、ずっと思っていました。

昔は、それでよかったのだと思います。

店の前まで来て、暖簾を見る。
外から中を少しのぞく。
入るかどうか迷う。
扉を開ける。
そこでようやく店とお客様が出会う。

でも今は、少し違います。

お客様は、店に来る前に、もう店を見ています。

Googleマップを開いて、写真を見る。
星を見る。
クチコミを見る。
返信を見る。

その時点で、もう印象は作られています。

この店は入りやすそうか。
感じがよさそうか。
一人でも大丈夫そうか。
子ども連れでも安心できそうか。
何かあっても向き合ってくれそうか。

つまり接客は、店の前に来る前から始まっています。

少し厄介です。

こちらはまだ「いらっしゃいませ」を言っていないのに、もう印象を持たれている。

まだ髪も整えていないのに、写真を撮られているようなものです。

もう少し待ってほしい。

でも、お客様は待ってくれません。

そう考えると、クチコミ返信の見え方が変わります。

返信は、投稿者へのお返事です。

それは間違いありません。

でも、それだけではありません。

これから来るかもしれない人に向けた、お迎えの言葉でもあります。

良い声に、どう感謝するか。
厳しい声に、どう向き合うか。
褒め言葉を、どう受け取るか。
誤解に、どう冷静に説明するか。

その一つひとつが、Googleマップ上の店先を作っています。

店の前なら、スタッフの表情があります。
声のトーンがあります。
空気があります。
少しの気遣いがあります。

でもGoogleマップでは、言葉だけが残ります。

だからこそ、そこに店の温度を残す必要があります。

お客様は、まだ来ていません。

でも、もう迷っています。

行こうか。
やめようか。
ここで大丈夫か。
他の店にしようか。

その小さな迷いの場面に、店の言葉が届くかもしれない。

それが、クチコミ返信の本当の価値だと思います。

私が作りたいのは、クチコミ返信を、来店前の接客に変える道具です。

この言葉にたどり着いた時、FRONTCASTの役割が少しはっきりしました。

店の前を掃くように。
暖簾を整えるように。
最初の「いらっしゃいませ」を少し整えるように。

Googleマップの上にも、整えるべき店先があります。

そしてそこには、まだ会っていないお客様が立っています。

クチコミ返信は、来店前の接客です。

店に入る前の不安を、少しだけほどく言葉です。